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この人形は明がらすの考案者である2代目桂次郎の妻トミエがコレクションしたもので、江戸時代末期のものです。
お内裏様とお雛様は高さ約30センチ、その下に5人ばやしが三組続きます。 2段目は江戸ばやしの男の子で、それぞれ、太鼓・大胴(おおどう)・小胴(こどう)・笛・謡という楽器を持っています。 3段目は宮中の楽士達で、こちらは羯鼓(かっこ)・笙(しょう)・琴・篳篥(ひちりき)・謡という宮中ならではの楽器ぞろえです。 4段目は唐子の5人ばやしで、持っている楽器の種類は江戸ばやしと同じになります。それぞれの5人ばやしは着物や表情が異なっており、少しずつ年代が違う事が分かります。 その下には3人仕丁というお掃除番の3人組がひょうきんな動作で掃除をしています。丁度掃除を終えて「やあきれいになった!」と眺める者あり、手の塵を払うものあり、表情も面白おかしい3人です。 さらに下方にはお雛様のお腰入れのお道具をミニチュアにしたものがたくさん並んでいます。 小さなお膳のセットが5人分の他、お茶道具や箪笥、衣装入れ等など、こちらも長い間に種類が増え、 洋風のティーセットといったものも飾られています。
この雛人形には他にもここでは載せきれないエピソードがたくさんあり、毎年2月末から3月にかけて行われる「遠野町家のひなめぐり」では、訪れる方々に詳しくご説明いたしております。

また、遠野の風習でひなまつりの際に五月の節句も一緒にお祝いしたことから、この雛飾りの右側にはたくさんの五月人形が飾られています。