スズメはチュンチュン、ウグイスはホーホケキョ、そしてカラスはカーカー・・・。 鳥はいろいろな鳴き声を持っています。
このような鳥の言葉は、人が学習によって言葉を覚えこむのと違い、生まれつき備わっているのが 特徴です。
人間でいえば泣く、笑うという誰から教えられなくても身についている行動と同じように カラスは生まれた時から「カーカー」と鳴けるのです。
しかし、実際には歌うのが上手なカラスと下手なカラスが存在します。
こうした違いは、ひなの時代での学習によって発達したものであることが多いのです。
皆さんは季節初めのウグイスの鳴き声を聞いた事がありますか?
ウグイスの幼鳥は、はじめは 「ケキョ、ケッキョ」といった感じで鳴いているのですが、段々とその鳴き声は洗練されて行き、 やがて「ホーホケキョ」と美しい声で鳴く事ができるようになります。 (日本では、鳴き声の美しいウグイスやホオジロなどの側に同類の鳥を付け、その音色を習わせる 「付け子」という制度もありました。)
野生のひな鳥達は、彼らの両親あるいは他の成鳥から歌を学習しなければなりません。
もともと遺伝的に備わっている歌をさらに発展させ、なわばりを設定したり、求愛したりする バリエーションを増やして行くのです。
このような学習能力の多くは幼鳥期に限られ、成鳥に なると消滅してしまうものです。
ところが、この能力が成鳥期にまで及び、様々な音色を覚え、発声することができる「ものまね鳥」 がいます。
キュウカンチョウ、オオムの他、日本ではカラス科とムクドリ科の鳥がこの能力を持っています。
カラスは賢い鳥だとよくいわれますが、人間の行動をじっと観察して生活している鳥らしい習性 だと思いませんか?
このことと関連して、人間の生活に密接につきまとっている鳥の鳴き声が地方によって多少違う という報告があります。
これは言うならば鳥の方言ともいえるもので、つまり、岩手のカラスは岩手弁 で鳴き、京都のカラスは京都弁で鳴くというのです。
「鳥もなまる」これは意外な発見ですね。
いつも聞こえるカラスの鳴き声を、このような違った視点で聞いてみるのも面白そうです。